一般財団法人 家電製品協会
家電処分の豆知識

家庭用エアコンを捨てる時はどうして家電リサイクルに出さなければいけないの?

2024.03.29 updated

引越しや買い替えなどに伴い、不要になったエアコン。実は粗大ごみに出すことができません。家庭用エアコンを処分する際には、家電リサイクル法に従って正しく処分する必要があります。

今回は、家庭用エアコンの処分方法について分かりやすく解説します。家庭用エアコンの処分方法を定めた家電リサイクル法の概要や、処分する際の注意点なども紹介。さらに、無料で処分する方法も解説します。エアコンの処分にお困りの方はお役立てください。

家庭用エアコン処分の基礎知識

家庭用エアコンは家電リサイクル法において、処分する方法が定められています。具体的な処分方法の前に、まず家電リサイクル法の概要とエアコンの分類について解説します。

家電リサイクル法とは?

家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)は、日本において製品の適正なリサイクルや廃棄物の処理を促進するために制定された法律です。この法律は1998年に制定され、2001年から施行されました。家庭用エアコンもこの法律の対象となります。

家電リサイクル法では、エアコン、テレビ(ブラウン管式、液晶・有機EL・プラズマ式)、冷蔵庫(冷凍庫)、洗濯機(衣類乾燥機)の4品目を対象としており、製造業者や輸入業者にはリサイクル(再商品化)をすること、小売業者には廃家電4品目の引き取りと、製造業者に引き渡することそれぞれ義務付けており、排出者(消費者や事業者)には収集・運搬料金とリサイクル料金を支払うことが定めています。

4品目の廃家電を処分する際には、この法律に基づいた方法で手続きを進めることが重要です。

家庭用エアコンとは?

エアコンには大きく分けて「家庭用」と「業務用」の2種類があり、このうち家電リサイクルの対象となるのは「家庭用エアコン」です。これは、一般消費者の方がご家庭で使用するものとして製造・販売されたエアコンです。

ただし家庭用エアコンは、必ずしもご家庭にばかり設置されているとは限りません。

会社の事務所や店舗、学校、ホテルなどにも設置されている場合があり、使用場所にかかわらず、家庭用エアコンは家電リサイクルの対象になります。また逆に「業務用」のエアコンは、ご家庭で使用されていても家電リサイクルの対象にはなりません。
なお室内機の設置方法によっては、家庭用であっても家電リサイクルの対象外となるものがあります。

家電リサイクルの対象となるものとそれ以外のものの大まかな区別は下の図のとおりですが、もし判断がつかない場合はメーカーや家電リサイクル券センターのコールセンターにお尋ねください。

家電リサイクル券センターコールセンター:0120-319-640

家庭用エアコンを処分する際は、購入や買替えをした販売店(家電量販店等)に「家電リサイクルでの処分をお願いします。」と伝えて、必ず『家電リサイクル券の控え』を受け取ってください(リユースする場合を除く)。

なお、引越し等で購入した店舗が遠方になった場合でも、引越し先に購入した販売店の他店舗がある場合は、引き取ってもらえます。

対象のエアコン一覧表対象外のエアコン一覧表

家庭用エアコン処分の料金はどのくらい?

エアコンを処分する際には、大きく分けて「収集・運搬料金」と「リサイクル料金」の2つの費用が発生します。「リサイクル料金」はメーカー別に提示されていますが、「収集・運搬料金」は販売店(家電量販店等)や収集運搬業者(引取業者)によって料金が異なります。詳しくは、依頼する販売店等に確認しましょう。

収集・運搬料金は、家電販売店が排出者から回収した家電を製造業者へ引き渡すための費用として使われます。この費用は引き取る業者が設定することになっています。家電リサイクル法において排出者の排出を妨げないよう一定の配慮が求められており、買い替えか回収のみかなどによっても異なる場合があります。具体的な金額は引き取りを依頼する業者に確認しましょう。なお、回収にかかる費用であるため、指定引取場所に直接持ち込む場合は不要になります。

リサイクル料金は家電リサイクル法で定められており、メーカーが引き取った家電をリサイクルするための費用です。処分する家電の品目やメーカーなどによって異なります。

家電リサイクルで処理しない場合、何が問題なの?

ご存知のとおりエアコンには地球温暖化につながる温室効果ガスであるフロンが充填されています。
そして家電リサイクル工場では、エアコンから1台当たり平均して678g(2022年度実績※1)のフロンが、全量漏れることなく適正に回収されています。家庭用エアコンに使用されているフロンは二酸化炭素(CO₂)の約2千倍の温室効果があると言われており、エアコン1台当たり約1.3トンのCO₂が充填されていることになります。

ところが残念なことに家電リサイクル以外のルートでエアコンが処分されている場合があり、このフロンの適正回収が保証されていないため、私たちの知らないところでフロンが大気中に放出されている、というのが実態です。
ちなみにこの1.3トンのCO₂は、なんと杉の木約93本が1年間に吸収する量(杉の木1本当たり約14kg※2)に相当します。
それ以外にも不法投棄されたり、金属資源のみ回収され、プラスチックはリサイクル等の活用がされないなど、環境保全や資源の有効利用の面からも問題が生じる可能性があります。

実際に不法投棄されたエアコンの写真

※不法投棄されたエアコンの実例

※1 出典:フロン回収実績(一般財団法人家電製品協会)

※2 出典:「地球温暖化対策のための緑の吸収源対策」(環境省/ 林野庁)

家庭用エアコンを無料や格安で処分する方法はある?

家庭用エアコンを処分する費用を抑える方法として、リユースショップの買取サービスや、フリマアプリなどを利用しての譲渡といった手段が挙げられます。

処分したい家電がまだ使用可能な状態であれば、リユースショップの買取サービスを利用すると無料で引き取ってもらったり、買い取ってもらえたりできる可能性があります。同様に、フリマアプリを通じてその家電を求める人を見つけられれば、リユース品として譲渡することができ、リサイクル料金などの費用を抑えることができるでしょう。

家庭用エアコンを処分するときの注意点

なかには、不要になった家電を無料で引き取ると謳う回収業者もいます。使える状態のエアコンなら良いですが、明らかに使えない状態のエアコンを無料で引き取ると謳う業者には注意が必要です。

使用不可能な家電を引き取った業者は、資源としての価値がある部分だけを回収したあとで、山中など人目のつかない場所に不法投棄する可能性があります。また、実際には無料ではなく、想定外の料金を後から請求される可能性も考えられます。

中古品を取り扱える「古物商」の認可を受けているかどうかなどを確認し、無認可の業者を利用しないよう注意しましょう。

日本国民として地球温暖化防止に役立つ取組

家庭用エアコンは推計で年間700万台前後処分されていますが、そのうち家電リサイクルに出されたものは約半分の360万台前後に過ぎません。わが国は、2030年度に2013年度比でCO₂を46%削減しようという目標を掲げています。
その取組の一環として、エアコンの家電リサイクルに出される台数を増やし、適切にフロンを回収・処理することで113万トン相当のCO₂排出の削減を行おうとしています。エアコンを家電リサイクルに出すことが、地球の温暖化防止につながっていきます。

※出典:中央環境審議会地球環境部会中長期の気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討ワーキング合同会合 第9回(2021年8月4日開催)配布資料

家電製品協会でもポスターを作成して、エアコンの適正なリサイクルに向けた周知活動を行っています。

エアコンリサイクル周知活動に使用している実際のポスター

おわりに

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