一般財団法人 家電製品協会
家電処分の豆知識

なぜブラウン管式テレビを早く処分しなければいけないの?

2021.12.27 updated

1926年(昭和元年)に浜松高等工業学校(現静岡大学工学部)の助教授であった高柳健次郎さんが世界で初めてブラウン管式テレビの実験に成功して以来、ブラウン管式テレビは昭和の半ばには三種の神器の一つといわれ、当時はこれを持つことで豊かさを実感することができました。

しかし現在では液晶式などの薄型テレビにとって代わられ、すでにブラウン管式テレビは生産販売はされていません。

このように一世を風靡したブラウン管式テレビではありますが、使われなくなったブラウン管式テレビは重くて奥行きもあり、今となってはリビングや物置の場所を占拠してしまうなど困っておられる方も少なくないのではないかと思います。
さらにブラウン管式テレビには注意しなければいけない点と、困った問題点があるので併せてご説明します。

注意しなければいけない点

有害物質が使用されていること

ブラウン管式テレビの部品には正しく処理することが必要な有害物質が使われていることです。

例えばブラウン管式テレビに使用されているブラウン管背面部のガラス(ファンネルガラス)には鉛が使用されています。鉛はブラウン管式テレビで画像を安全に映し出すために必ず必要な素材として採用されてきましたが、廃棄時に正しく処分しないと環境保全にとって有害となるため注意が必要です。

ファンネルガラス

またテレビ本体の背面のプラスチック製のパネルには、難燃性を持たせるために添加剤※1が用いられています。その目的は、ブラウン管式テレビ内部の高電圧回路の部品が万一故障過熱することがあっても安全性を保つためです。さらに全てのブラウン管式テレビではありませんが、電気回路部品の一部(コンデンサー)にPCB(ポリ塩化ビフェニール)が使用されている機種があります。※2

これらの添加剤やPCBといった素材は、ブラウン管式テレビが生産されていた当時は環境保全に有害であることが認知されていませんでしたが、世界中で環境問題が注目される中、新たな有害物質に指定され、使用が禁止されることになりました。もちろんこれらの有害物質はブラウン管式テレビを普通に家の中に置いておくだけでは問題ありませんが、廃棄する際には注意が必要であることを常に覚えておかなければなりません。

※1:2017年にストックホルム条約(POPs条約)第8回締約国会議にて新たに製造・使用等の禁止が決定された物質で、デカブロモジフェニルエーテル(Deca-BDE)などがあります。

※2:1954年から1971年末までに製造されたブラウン管式テレビが対象。

困った問題点

処理をするところが年々減ってきていること

特に問題となるのは電気回路部品の一つであるコンデンサーに含まれるPCBです。

PCBは健康被害をもたらす毒性のある物質として1972年に製造が中止となり、PCB特別措置法に基づいて処分期間が設定され、全国の処理施設でこれまで処理が進められてきましたが、処理期限が迫ってきています。

・環境省ホームページ:http://pcb-soukishori.env.go.jp/

またブラウン管式テレビが廃棄される台数も年々減少してきていることから、全国でブラウン管式テレビを適切に処理できる工場を運営維持することが難しくなってきているといった問題点もあります。

お願い

ご家庭に使われなくなったブラウン管式テレビが残っていないか確認していただき、テレビを買ったお店に引取りをお願いするか、新しくテレビを購入した際に引き取ってもらう※3などして、早めに家電リサイクルに出してください。

※3:新しいテレビ1台の購入時に複数台数のテレビ(ブラウン管式および液晶・プラズマ式)を引き取ってもらうことも可能です。

おわりに

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